百年杉の産地、尾鷲に行ってきました!

百年杉の故郷、三重県尾鷲市に行ってきました。相棒S氏と念願の産地見学です。


新幹線で名古屋に行き、そこから特急で2時間。尾鷲駅は港町でした。人の住む気配がない家が多く、ちょっとたまらない廃墟に何軒も出会えます。ビジネスホテルと小さな民宿がいくつかと、なぜかスナックがすごくたくさんあります.。聞くと、ここは昔は遊郭だったそう。さびれているようでさびれてなくて、旅好きにはたまりません。



漁港があります。


港町から車で数分走っただけで、山に入ってしまいます。海からすぐに急峻な山が立ちあがる、尾鷲ならではの地形。その急な斜面に、尾鷲杉と尾鷲ヒノキが、海風を受けてまっすぐに立っていました。


今回案内してくれたのは、材としての百年杉の産みの親である、畦地製材所の畦地さん。堂々たる身体つきと、気持ちの入った、まっすぐで屈託のない話し方。山の男っていいなあ。自然と向き合って暮らすと、畦地さんのように人としての純度が高くなるのだろうか・・・


山は気持ちいい! 尾鷲の山の空気は、私の家から行きやすい丹沢と近い感じがしました。


尾鷲は雨がたくさん降るそうで、年間降雨量が屋久島と同じくらいだそうです。太陽と、雨と、海風の恵みを受けて育っているんだと実感します。


斜面にまっすぐに立つ、美しい杉。生命力を感じます。ここは一般的な植林よりも杉を密集して植えていて、それゆえ、杉が太陽を求めて上へ上へと伸びるそうです。途中で競争に負けた杉は間伐され、バイオマスや建材などに使われるようです。

根元にはいろんな草が生えています。草が多様に生えてこそ、よい土壌になるそうです。


ここの杉を伐るのは約20年先だそうです。植えてから伐るまで普通は5~60年ですが、畦地さんは精油分が豊富になるまでさらに待ち、80~100年育った杉を使います。


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ここで少しだけ私の思いも書きます。


3世代先を考えて生きる畦地さんと、ワンクリックで当日配送という世の中の「時間軸」のあまりにも大きな違い。「早く、安く」という経済の要請は、100年かけて命を育んだ木よりも、工業製品の素材や添加物まみれの外材ばかり流通させています。


20年後にこの山の杉が伐採期を迎えたとき、その出口はあるのか・・・。これは尾鷲やこの国の林業の課題ですが、同時に今の時代の本質的な課題です。 


短い時間軸で考えて「早く、安く」を求め続けるのか、畦地さんのように100年の時間軸を持って「今」を生きるのか・・・。私は後者でありたい、です。


私は、「自分の手で国産の木の床を敷く」ことを人に勧めて、その人と一緒に手を動かすことで、考え続けようと思います。


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伐採現場もみせていただきました。


伐り出した杉の年輪を数える畦地さん。百年以上ありそうです。この全身を傾けている姿に、感じるものがあります。


山をおりてすぐの原木市場です。杉は山主に話をつけて買うことが多いそうですが、原木市場で探して買う時もあるそうです。山主から買う時も原木市場を通した方がトラブルになりにくい、とのことです。


これが畦地さんの製材所。すごく広いですが従業員は4人だそう。ここで働けば元気になるに決まってます。


積まれた杉丸太が壮観でした。精油分がたっぷりの、まさに宝の山。生命力に溢れてます。




すごいのがあります。太さも精油分も尋常じゃない。畦地さんに何に使うのか聞いたら、わからない、との返事。


「愛工房」で乾燥中。杉をいじめない45℃での低温乾燥。私とS氏も中に入って、杉精油の芳香に包まれてサウナ浴しました♪


馴染みの床材です。下が加工前、上が加工後。壮観です。


畦地さんとの話が尽きなくて、暗くなるまで3人で何時間も杉トークしました。畦地さんの話で、印象に残ったエピソードがあります。


畦地さんは、コロナの営業危機の最中に、無駄に営業をかけないで「手元にある木と会話することにした」そうです。そしたら、あるとき、苦しい状況は変わらないけれど、大丈夫だ、と確信できたと言います。木を扱うということは、木の声を聞く、ということなのかも、と思いました。


尾鷲から家に戻って翌朝、ふと寝室の壁に貼ってある百年杉に手をやりました。そしたら、尾鷲の海と山とが蘇ってきて、ジーンと伝わるものがあって、大丈夫、という声が腹の奥から出てきました。大丈夫、という気持ちが広がって、私は何度か、大丈夫、と確かめるように言いました。


そのとき、私は、あの森の木の出口をつくることを、ちゃんとやれるのだろうか、などと不安に思っていたんだな、と気づきました。


ちょっと興奮しました。


人間には、百年の時間軸がもともとあるんじゃないでしょうか。目を閉じて、百年杉に手を触れるといいのかもしれません。





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