家をよくしたくて、私が試行錯誤したこと、学んだこと。

マンション住まいの7年目あたりから、空間になんとなく閉塞感を感じてモヤモヤしていました。
「木の家」に憧れていました。

夢を実現した家を見学して、住んでいる人から話を聴く。


最初は住宅展示場に行って、住友林業やスウェーデンハウスを、いいな、と思いましたし、無印良品の家も、まあ、なかなか、と思ったりしました。


私が好きだったのは、代官山のBESSの展示場と、大倉山にある「もくもくはうす」でした。オープンハウスにも何度も足を運び、夢を実現した家を見学して、住んでいる人の話を聴いて刺激を受けていました。それと、不動産屋さんで面白そうな物件を見つけては内見し、できるだけ住んでいる人と話しました。

その人がどんなこだわりをもっていて、どんな暮らしをして、どんな幸せを味わっているのかを目の当たりにして、自分と照らし合わせていました。


もし、家を建てたい、と思っているようでしたら、住宅展示場に行くよりも、こだわって建てた家を3軒見学して、その人から直接話を聴くことを、ぜひおすすめします。

😃わが家も喜んでお見せします!お気軽に連絡ください。😃


気になる建築家に会いにいく。

また、当時、「住む」という雑誌が好きで、その雑誌に載っている建築家に会いに行って夢を膨らませました。私は中村好文さんという建築家のファンだったのですが、他にも気になる建築家が何人かいて、ワクワクしながらやりとりしました。
会って話すことで、相性がわかるし、自分の考えが整理できます。私が今住んでいる家は、「住む」に出ていた寺林省二さんと建てたのですが、話して、私のことを私以上にわかってくれている、という印象を受けました。よい方とよいご縁が結べました。

↓ちなみにこちらは、志田茂さんのHPです。家と暮らしについてわかりやすく書かれていて、読めぱ家のモヤモヤが解消するかもしれません。



でも、その前に、とても大きな出会いがありました。



木を自分で敷く。

それが、SMALL WOOD TOKYOの「敷くだけフローリング」です。東京の杉・ヒノキの間伐材を有効活用すべく、DIYで床に敷くことをコンセプトとして商品化された無垢フローリング材です。
SMALL WOOD TOKYOは、安田さんと小田原さんという2人の編集者がつくった合同会社で、残念ながら今はありません。当時、井の頭公園のそばに小さな2階建てのオフィスがあり、そこに敷きつめた杉・ヒノキをみて、これだ!と思いました。 

おそらく、ほとんどの人は、木を自分で敷ける、とは思っていないでしょう。当時の私もそうでした。木の家に住みたい、という欲望を叶えるには、リフォームや新築をするしかない、と、勝手に思いこんでいました。
それまでいろんな「自然素材の家」を見学して、木の家が気持ちいいのは、木の床が気持ちいいからだ、と、感じていましたが、じゃあ、自分で木を床に敷けばいい、とは思いませんでした。

なぜでしょう・・・
どうやら日本人は、料理は自分でつくるけど、住まいに手を入れるのは自分でやるのは難しい、という考えの人が多いようです。調理道具は持っていても、DIY道具をもっている人は相対的にかなり少ないはずです。それと、床は下地に「貼る」のが一般的であって、それゆえに大工さんのような技術がないとダメ、という認識があります。床に「敷くだけ」でいい、とはふつうは思いません。だから、当時の私が、自分で敷けばいいんだ、と気づけなかったのも無理からぬことだと思います。

それまで私はDIYをしたことがなかったですが、杉とヒノキのなんとも居心地のよい空間を目の当たりにして、目からウロコが落ちました。リフォームや新築で何百万、何千万もかける前に、やれることがあったのです。

自分の手を動かせば、とにかくお金が最小限で済みます。工賃ゼロです。金銭的なメリットが何より大きいですが、同時に、自分の手を動かすことは、とても前向きな、本質的な行為のように思われたのです。


とりあえず敷こう、でいい。

木を敷くことが終着点ではありません。でも、「理想の家」にぐっと近づける、と思いました。

そもそも「理想の家」を建てようとして、たくさん調べて、自分の好みを理解して、いい設計士や工務店に巡りあえても、住んでみないとわからないことはたくさんあります。家族がそれぞれ成長すれば、必要な空間は変わりますし、自分の好みだって変わるかもしれません。私もふたりの子がいて、当時はふたりとも幼児でした。今建てるよりも、まずは木を敷いてみる、という選択は、そういう意味でもよい気がしました。


私は気が向いたときに木を買い足しながら、3LDKの床に杉・ヒノキを3年かけて敷き詰めていきました。リビングの半分にヒノキを敷いたとき、下の子は、ヒノキ広場だ!といって走り回りました。



それは、誰かの家を見学することより、もっと大きな経験でした。家が自分の手で変わっていき、家族がそれを喜んでくれて、家に何かが宿ることを感じました。それに、敷くのは楽しい。充実感があります。家はずっと途中でいい。家は育てるもの。育てることで、愛着が増していく・・・
そのことを、生のパワーに満ちた木だったからこそ、強く感じるできました。木が、空間を気持ちよくするのを大きく助けてくれたと思います。

↓マンションの廊下に敷いた杉です。

別にDIYでなくても、掃除でも、モノを捨てることでも構いません。家に手をかけることで、空間に何かを生み出しているのです。

後から思えば、家を建てる前に、気になるところを自分の工夫で解消できたのは、とてもよかったです。家を自分で変えられる、という手応えを手にすることができましたし、自分がDIYでどこまでやれるかをつかむことができました。そのうえで、人生を差し出すようなお金を次の大きな機会にとっておけました。

DIYは料理と同じ。要は慣れです。何より楽しいし、精神的に豊かになれます。
誰かに一気に「理想の家」を建ててもらうのもひとつの選択ですが、小さな工夫の積み重ねで「理想の家」に近づいていくのも醍醐味です。自分がとれる時間や経済状況とも照らし合わせて、その選択をうまく組み合わせればよいのだと思います。

夢が叶った。

ところで、ブラザーズの相棒であるS氏は、私より少しだけ遅れて「敷くだけフローリング」を敷きはじめたのですが、そのまま今もずっとDIYによる家の木質化を突き進んでいます。床も壁もぜんぶ杉。濃密なパワースポット空間です。(笑)

いっぽう、私はマンションの床に敷き詰めた後、空間を工夫で変えられる限界も感じとりました。木の家であることは満たされましたが、もっと自由で楽しい空間が欲しくなりました。
それと、「人とつながる」という漠とした(根源的な?)欲求が私にはあって、その舞台となるような住まいにしたい、と夢を描きました。うんと悩んだ末に、寺林さんと、その夢を内包した家を建てました。外とのつながりとおおらかさを持った木の家です。住みながら手を入れる前提の、つくりこまない、素直な家です。

実は、家が完成して引き渡されたときは、こんなもんか、という感じで、あまり感慨がありませんでした。でも、その家で「住み開き」をして、わが家に40人くらいの人たちがワイワイ集う様子を眺めたとき、「夢が叶った」と、深く感じいったことを覚えています。


敷いてよかった!を広げたい。


家を建てる決断をしたこともそうですが、その前に「敷くだけフローリング」に出会ったことが、のちの人生を変えたと思います。カッコよくいえば、木の床を敷くことで、「生きることはつくること」という哲学が芽生えた、と、いえるかもしれません。

自分で木を敷くことが、もっと広がってほしいです。

それは、自分が経験してよかったから、だけではありません。床を木にすることが、空間を劇的に変えることを確信しているからです。

空き家が余っているといわれていて、都会人の多くは賃貸住まいで、それでいて木の家がいいという人は多いです。自分で木を敷けば、賃貸でも中古でもそれが安価に実現できます。しかも「家を育てる」という大きな経験を手にすることができます。そして日本の森を守ることにもつながります。

木を自分で床に敷くことが、暮らしの工夫としてあたり前になるといいです。

豊かさのありようは人それぞれですが、家を育てる感覚と、木を活かすこと、その豊かさをたくさんの人と共有したいです。

敷いてよかった!を、広げたいです。


床敷きブラザーズ

杉の床を敷きませんか。 自分で、みんなで、敷きませんか。 賃貸でも大丈夫です。 国産杉を床に敷けば、 素足が気持ちよくて暖かい、 木の家になります。 深い呼吸がしやすくなります。 心とカラダが喜び、緩みます。 DIYが初めてでも大丈夫。 床敷きブラザーズがサポートします。